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警備報告書の電子化|電子サインと警備業法の書類

警備の現場では、勤務の終わりに警備報告書(業務報告書・伝票)を書き、契約先の担当者にサインや押印をもらう運用が続いています。紙の報告書は、現場での受け渡し、営業所への持ち帰り、請求と給与への転記、保管の手間がかかります。ここでは、報告書を電子に移すときに確認する法令上の点と、契約先との取り決め、移行の手順を整理します。

本記事の法令の内容は、2026 年 9 月時点で e-Gov 法令検索に掲載されている警備業法・警備業法施行規則・電子署名法の条文に基づきます。個別の判断は、所轄の警察署や専門家にご確認ください。

警備報告書と警備業法の関係

警備業法施行規則第 66 条は、営業所に備え付ける書類を定めています。この一覧に「警備報告書」という名前の書類は含まれていません。

一方で、警備業務の契約を結ぶ前に依頼者へ渡す「契約の概要を記した書面」には、報告の方法、頻度及び時期その他の警備業務の依頼者への報告に関する事項 を書くことになっています(警備業法第 19 条第 1 項、施行規則第 33 条)。つまり、報告書をどの形式で、いつ、どうやって出すかは契約で決まります。

報告書を電子に移すときは、まず契約先ごとの書面で「報告の方法」がどう書かれているかを確認します。「書面で提出」と書かれている契約は、電子での提出に変えることを契約先と合意し、次の契約更新で書面の記載を改めます。

契約時の書面の電子交付(警備業法第 19 条第 3 項)

契約前の概要書面と、契約後に渡す契約内容の書面は、依頼者の承諾を得れば、電子的な方法で提供できます(警備業法第 19 条第 3 項)。この場合、書面を交付したものとみなされます。

方法は施行規則第 36 条に定められていて、電子メールなどで送信して依頼者の側に記録する方法、依頼者がシステム上で閲覧して記録する方法、電子ファイルを記録媒体で渡す方法があります。どの方法でも、依頼者がファイルを出力して書面を作成できること が条件です。PDF で渡す運用が、この条件を満たしやすい形です。

営業所の備付書類の電子保存(施行規則第 66 条・第 67 条)

施行規則第 66 条が定める主な備付書類と、保存の期間は次のとおりです。

書類保存の期間
警備員の名簿(写真、教育の実施記録、資格などを記載)退職の日から 1 年間
警備員になれない者(警備業法第 14 条第 1 項)に該当しないことの誓約書面と、確認の措置の記録―
護身用具の種類ごとの数量を記載した書面―
指導計画書実地に指導した日から 2 年間
教育計画書(年度ごと)年度の終了の日から 2 年間。年度の開始の 30 日前までに備える
教育の実施記録(年度ごと。指導教育責任者と実施者の確認を付記)年度の終了の日から 2 年間
警備業務の契約ごとに、依頼者・警備員の人数・期間などを記載した書類―
苦情の内容・原因・改善措置などを記載した書類―

これらの書類は、記載事項が電磁的方法で記録され、必要に応じて機器ですぐに表示できるときは、その記録で代えることができます(施行規則第 67 条)。電磁的方法で記録するときは、国家公安委員会が定める基準の確保に努めることとされています(施行規則第 68 条)。

電子で持つときは、立入検査の場で求められた書類をすぐに画面で示すか、印刷して渡せる状態にしておきます。書類ごとに別のファイルや表計算で持っていると、この準備に時間がかかります。

画面への手書きサインの扱い

報告書の電子化では、契約先の担当者にスマートフォンやタブレットの画面へ手書きでサインしてもらう形が一般的です。紙の受領印に代わる、受領の確認の記録として使われます。

電子署名法は「電子署名」を、その情報を作成した者を示し、かつ改変されていないかを確認できる措置と定義しています(第 2 条)。本人だけが行える電子署名がある電子文書は、真正に成立したものと推定されます(第 3 条)。画面に書いたサインの画像は、この推定を受けるための電子署名とは別のものとして考えておくのが安全です。

実務では、次の 2 点を契約先と合意しておきます。

  1. 画面のサインを受領の確認とすること:署名した人の名前と日時が記録に残ることを説明し、契約書か覚書に書きます
  2. 報告書の提出方法:PDF をメールで送る、または契約先がシステムで確認する、のどちらにするか。宛先を部署の共通アドレスにするかも決めます

電子化の手順

  1. 報告の取り決めを棚卸しする:契約先ごとに、報告書の様式、提出先、頻度、サインや押印の要否を一覧にします
  2. 契約先と合意する:画面のサインと PDF での提出を受領とすることを合意します。すぐに移れない契約先は紙のまま残し、段階的に移します
  3. 紙のサインとの併用を決める:電波の届かない現場や、画面のサインに応じない契約先向けに、紙にもらったサインを撮影して記録に付ける方法を用意します
  4. 報告と勤怠をつなげる:報告書に書く勤務の開始・終了・休憩・残業の時間を、そのまま勤怠と給与計算の元データにします
  5. 保存と検索を決める:現場・日付・契約先で過去の報告書を探せるようにし、保存期間を社内で決めます

警備サインでの報告書の電子化

シャノンの「警備サイン」では、報告書の作成から契約先への送付までを次の流れで行います。

  • 作成:隊員がスマホで、現場・日付ごとの伝票に、隊員ごとの勤務の開始・終了、休憩、残業、車両の使用を入力して送信します
  • 受領のサイン:契約先の担当者が画面にサインし、署名した人の名前を入力します。署名の日時が記録され、伝票は受領済みになります。紙にもらったサインは、撮影した画像を伝票に付けられます
  • 確認と送付:管制は、伝票ごとの送付・受領の状況を一覧で確認し、PDF を作成してメールで契約先へ送ります。複数の伝票をまとめて送ることもできます

営業所の備付書類は、別契約の「法定調書」で扱います。警備員名簿、教育計画書、指導計画書、契約ごとの書類、苦情処理の記録、護身用具の一覧を管理し、立入検査の準備として年度を指定した書類を ZIP でまとめて出力できます。ログインは警備サインと共通です。

報告書の電子化は、契約の取り決めの確認から始まります。導入の相談はお問い合わせから受け付けています。配置と上番・下番の記録については「警備員のシフト・配置管理のシステム化」にまとめています。

出典

よくある質問

警備報告書は警備業法で紙の保存が決められていますか?

警備業法施行規則第 66 条が定める営業所の備付書類に、「警備報告書」という名前の書類は含まれていません。契約先への報告の方法・頻度・時期は、契約の概要を記した書面に書く事項で、報告書の形式と提出方法は契約で決まります。税務や社内規程で定める保存期間は、別に確認します。

警備員名簿や教育実施簿は電子データで備え付けられますか?

施行規則第 67 条により、記載事項が電磁的方法で記録され、必要に応じて機器ですぐに表示できるときは、その記録を書類に代えることができます。立入検査の場で画面または印刷で示せる状態にしておきます。

契約先の担当者が画面に書いたサインは、受領の確認になりますか?

受領の確認として使う運用は広く行われていますが、どの方法を受領とみなすかは契約先との取り決めです。電子化を始める前に、画面のサインや PDF のメール送付で受領とすることを、契約書か覚書で合意しておきます。

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